Kindle Unlimited がスタート! でも紙の本は無くならない! (で、欲しいという希望)


Kindle Unlimited がスタートしたそうで。
月額980円で電子書籍読み放題。
本好きにはたまりませんね。

電子書籍って本当にすごい。
本をよく買う人にとって、本を買ことの何が悩みって、
「お金が出て行く」に加えて「置き場所に困る」だと思うんだよね。
この、「置き場所に困る」を電子書籍は見事にクリアしたけど、
ついに「お金が出て行く」も問題としない時代がやってくるわけだ。

読み放題。ん〜素敵な響き。

でもね。

私、紙の本が好きなんですよ、困ったことに。

紙の本は本当に絶滅するのだろうか。

電子書籍の旅は追想できるか

今度このブログで「祖父の本棚」ていうコーナーを新設しようと思ってまして、
祖父の本棚からいろんな本を引っ張り出して眺めています。
うちの祖父はえらい本好きで、そして一度買った本は絶対に売らない主義。
将来は、自分図書館を作りたかったような人。
(将来は、なんて言ってる時点で80過ぎてたけど)

美術書からビジネス書から小説から、本当いろいろ持ってます。

故人の本棚から本を引っ張り出して、読む。中には、書き込みや付箋がある。
しおりが挟まっていたり、ページが折れていたりする。
何の意味もないこともあれば、何かしらの意味があることもある。
しおり代わりにレシートが挟まっていて、「あ、この日はカキフライだったんだ」なんて思ったりする。

その人の人生の一部を追いかけているような、不思議な気持ちになる時があります。

これって、手触りのある本だからできること。
電子書籍にもしおり機能とかあるけどね。なんだろう、やっぱり少し違う気がする。
少なくとも伝わってくる空気感は、だいぶ少ない。

そもそも、故人の電子書籍を見られるか、そこまでして見るか、ていう問題もある。
故人のデバイスのPINなんて、わかる? 

ギズモードで「現代の魔術師」落合陽一氏のインタビューを読んで、なるほどなぁと思ったんだけど、実際に故人のものを整理し始めるとこれは実感を伴って腹落ちする。

デジタルネイチャーにいた過程で一番困るのは、亡くなったおじいちゃんのデータどうしようってことだと思うんだよね。例えば昔の写真のネガとかはアナログデータだったから誰でも閲覧できたんだけど、デジタルデータになってるとその人しか閲覧できないデータがいっぱいある。オフラインで保存したデータはしばらくすると機器が古くなって揮発したりするし、再生しにくくなるから、インターネット上のデータのほうが寿命が長いかもしれない。でも個人のアカウントの中ってアクセスしにくいですよね。そうすると、それってグーグルが持っているべきなのか、フェイスブックが持っているべきなのか? ほんとうは国が保持して個人が所有しておくべきなんだろうけど、そういうのを保存しておけるようなものってのがまだなんにも考案されてない。(ギズモード:「落合陽一さんインタビュー後編」より)
(この記事は面白いので、前編もあわせてぜひどうぞ)

もちろん我が家の祖父は電子的な物は何一つ持ってなかったけど(電卓くらい)、
もし、この本が全部電子書籍だったら?
もし、この日記やメモが全部端末に入っていたら?
て考えると、面白い。

本や雑紙は、家のスペースを取る。
だから、整理が必要になる。
必然的に、手にとって目にすることがあるから、気づいたら故人の人生を追想していることがある。

これが電子デバイスの中のデータだったら?
放っておいても場所もとらないし、お金もかからない。
たぶん、放っておくね。これを一から整理するなんて、労力のわりに意味ないもん。
そうして、故人のこれまでの人生の積み重ねのうち、
家族に見せなかった一面や伝えられなかった想いや何気ないメモなんかは、
誰の目にも触れずに消えていくんだろうなぁって。

自分の人生に置き換えると、なんだか虚しい気持ちになる。

別にアンチ電子書籍でもないし、すべての本が紙である必要もないと思うんだけど、
本当に自分の人生に影響を与えるような、何度も読み返すような本は、ぜひ紙本で手元に置いておきたい。


そうしていつか、その本が誰かの手に渡ることを夢見たい。

※追記(2016.8.4)
Kindle Unlimited では、一度にデバイスに入れられる本は10冊までなんですね。
てことは、これは電子書籍の図書館なわけだ。(いつでも読めるけど、所有はできない)
それでは、「電子書籍」である以前の問題として、追想の発想はないね。
先月号では意味がないっていうようなファッション雑誌とか、暇つぶしに読む漫画とか、ちょっと気になっている本の試し読みにはすごくいいシステムだけど、
私の「本の読み方」とは合致しなさそうだ・・・